こんにちは、理学療法士のさいとうです。
私は先日職場の近くの地域の方々に、転倒予防教室を開催しました。
今回は予防教室を開催しての感想と
そこから見えてきた予防リハビリの課題を話して行きたいと思います。
転倒予防教室を実施しての感想
今回は役所からある団地の人たち向けに、「転倒予防教室を実施してほしい」
という依頼が病院の方にきました。
上司に再三予防リハに興味があると話していた私に
真っ先に声がかかりました。
「さいとうは確か予防リハに興味あったよな? やってみるか?」
「やります( ´∀`)」
こんな機会願ってもなかったので、即返事しました。
やっぱり自分の目標とかは周りに言いふらしておくべきですね。
内容は団地がエレベーターがないため、
いつまでも階段を上り下りして外出できるように、
さらに外出先で転ばないような運動を紹介してほしいというものでした。
いざ準備に取り掛かると、思った以上に難しかったです。
年齢や運動機能レベルなど、何もわからない状態で
全員に効果的な運動プログラムを考えるのは、とても大変でした。
さらに学会発表の準備も重なり、ヒーヒーいながら資料を作成してました。
その様子はこちらから⬇️⬇️
そして当日は、、、
とても楽しかったです( ´ ▽ ` )
その地域の人たちは、とても気さくでノリがよく私も気持ちよく体操をすることができました。
みんな笑顔で、楽しそうに交流している姿は私が理想としている地域の在り方でした。
このように積極的に人と交流して、活動・参加が保たれている人はいつまでも健康で生き生きしているなと感じました。
実施した内容
実施した内容は以下の通りです。
- フレイルの説明
- 準備体操
- 下肢筋力トレーニング
- 注意機能トレーニング
- 栄養指導
1つずつ説明していきます。
まず①は、介護予防や転倒予防を指導する上で絶対に知ってほしいと思ったことでした。
要介護になったら、回復が難しいことを伝え危機感を持っていただき
フレイルなら可逆的に健康な状態へ戻れること伝えモチベーションをあげる目的でした。
しかし、今回の参加者は
「そんなのもう知っているわよ笑」って感じでした( ゚д゚)
やっぱり積極的に参加している高齢者には
介護予防の概念がすでに根づいているのですね!!
嬉しい反応です!!
次に②の準備体操です。
準備体操では、簡単なストレッチや体操を実施
さらにミスをしやすいプチコグニサイズを実施し、
「できないわよー(=´∀`)人(´∀`=)」
みたいな雰囲気を作りたかった!!
これが大成功。
一気に場が和み、会場が騒がしくなりました。
つかみはバッチリですね✌︎(‘ω’✌︎ )
つかみとしてコグニサイズを実施することはとてもおすすめの方法です!!
③の下肢筋力トレーニングは、転倒予防に重要な筋肉を中心に実施。
会場にはパイプ椅子しかなく、
そんな状況でリスク管理を考えながら、筋トレ方法を考えるのは
とても難しかったです。
中には100歳を超える方もいらっしゃったので、
様子を見ながら、その人にあった対応を即座に考える必要がありました。
ポイントとしては、
立っていても、座っていてもできる筋トレを考えておく
これを意識して、プログラムを考えるとスムーズに対応できます。
④は注意機能トレーニング
注意機能の低下は転倒リスクをあげることは
多くの論文で報告されています。
筋力低下のない人に対しては、
注意機能のトレーニングを実施することが、転倒リスクを低くします。
そこで足踏みをしながらのマルチタスクを実施。
これもリスクがある人には、座ってやってもらいました。
これもみなさん楽しそうにやってくれました!!
⑤は最後に栄養の指導をしました。
栄養指導といっても、タンパク質大事だよー
ってゆー話と
こんな工夫できるよー
って話です。
しかし、タンパク質の重要性も7割くらいの方が
聞いたことあるよー( ´∀`)
って感じでした!!
おそるべし、いまどき高齢者。ワラ
今回は初めてでしたが、流れとしては
よかったのではないかなと思っています。
次回は、もっと筋トレの内容を濃くしたいなー
とも思います_φ(・_・
介護予防の課題
そして、今回の介護予防教室で私が感じた課題について
以下の2つがあげられます。
1.男性の参加率
2.介護予防の目標・ゴール
1については、今回の転倒予防教室での男性参加者は1名のみでした。
やはり、男性とは女性に比べ【みんなで何かをする】
ということに抵抗感が強いみたいです。
研究でも、男性に比べ女性の方が共感指数が高いことが示されています。
様々な男女差の論文などを読むと、集団で何かをするというのは
女性向きのアプローチであり、男性には向かないのではと思える。
男性の場合は女性に比べ、システム化指数
(システムを分析する衝動あるいはシステムを構築しようとする傾向)
というものが高い
だからみんなでワイワイより、一人で趣味に没頭する方が
好きな男性が多いのではないだろうか
このことから、男性の外出や参加を促すのであれば
趣味活動を安全にできる場の提供などがいいのでと考えている。
まだ思いついただけなので、具体案は何もないが
これから考えて実施していけたらと思いますm(._.)m
2については、とても難しいと私は考えています。
病院やクリニックでリハビリを実施する場合、
「痛みを取ってほしい」とか「歩けるようになりたい」
などの明確な目標があり、ゴールがありますよね。
しかし、介護予防の目標って
「できる限り現状維持」なんですよ(p_-)
【今困っていなし、特に目標もないけど頑張る】
こんなの頑張れるわけないですよね。
これが、介護予防の参加者が増えない理由の一つと思います。
では介護予防の目標をどうすれば良いか
介護予防は、どんなに頑張ったとしても
いつか病気や怪我をしてしまいます。
そして、絶対に避けられないのが「死」です。
しかし、これこそが介護予防のゴールであると
私は思います。
この間の学会でも、大渕先生という方が
このような言葉を使っていました。
「Quality of death」ー 死の質
自分の死をどのように迎えるか
より良い死
これこそが、介護予防において
目指していかなければいけないことなのかなと考えます。
そのために私は、高齢者に問いかけ、考えてもらい
また私自身にも問いかけ、一緒に行動していけたらと思います。
参考文献
Baron-Cohen, S. (2003). The essential difference: The truth about the male and female brain. New York: Basic books.
Cook, C. M., & Saucier, D. M. (2010).Mental rotation, targeting ability and Baron-Cohen’s Empathizing-Systemizing Theory of Sex Differences. Personality and individual differences. 49.712-716
佐藤有佳:共感性と社会的行動の関連における性差