セラピスト向け

高齢者に対するレジスタンストレーニングの運動強度は低負荷でいい!② スロートレーニング編

こんにちは、理学療法士のさいとうです。

みなさん1度は聞いたことがある
「筋肥大を目的とするレジスタンストレーニングでは
1RMの70〜90%の運動強度が必要」という言葉

私も学生の頃にそう習っていました。

しかし、いざ臨床に出てみると、
心不全や呼吸器疾患を合併していたり...
そもそも体力が低下している高齢者の方がほとんどだし..
高齢者に対してこんな高強度のトレーニングなんかムリ!!( ;∀;)

そこで前回は
低負荷でも十分な反復回数を実施すれば
筋肥大はしっかり見込める
という話をさせて頂きました。

その記事はこちらから↓↓

https://pt-karachie.com/senior-training/

しかし、前回紹介させて頂いた方法は
”時間がかかってしまう
というデメリットがありました。/(^o^)\

 

そこで、今回は

【スロートレーニング

を用いて筋肥大を目指す方法の
お話をさせて頂きたいと思います。( ・∇・)

 

スロートレーニングとは

スロートレーニングは、
通常のレジスタンストレーニングの
動作をきわめてゆっくりと行う

トレーニングの総称です。

正式名称は
「筋発揮張力維持スロー法
(Low-intensity training with
slow movement and tonic force
generation:LST法)」といいます。

 

この方法は、最大筋力の40%前後の筋発揮下で、
筋血流の制限がおこることを利用し、
この筋発揮を持続しながら
動作を実施することで、
筋肥大を達成しようとするものです。

メカニズムとしては、
加圧トレーニングと共通
する部分が多いと言われています。

 

スロートレーニングのポイント

スロートレーニングを効果的に
実施するためのポイントは

①1RMの30〜50%程度の負荷強度を用いる

②脱力する瞬間をつくらず、
 常に筋の緊張を解かない

③慣性による発揮筋力の低下が
 起らないように実施する

この3つです。

それぞれ説明していきます。

 

①1RMの30〜50%程度の負荷強度を用いる

に関しては、先ほども少しお話したように
この負荷強度では、筋内圧の上昇に伴う
筋血流の制限が起こることがポイントです。

筋血流が制限されることで、早期から筋を
疲労させ、肥大へと向かう筋内環境を
達成しようとしているのです。

 

②脱力する瞬間をつくらず、
 常に筋の緊張を解かない

③慣性による発揮筋力の低下が
 起らないように実施する

に関しては、①での筋血流の
制限をトレーニング中に
持続させるためのポイントとなります。

この②と③の条件を満たすためには
滑らかな動作を行う必要があり、
結果的にスローな動作となります。

 

実際は何秒を何回やればいい?

結論としては

1RMの30〜50%の負荷強度
・それぞれ3〜6秒で挙上・下降の繰り返し
・8〜13回を2〜3セット
・週2回以上を10週〜12週程度

のトレーニングで筋肥大が見込まれます。

 

石井直方の
スロートレーニングの効果とそのメカニズム
にはこのように記載されています。

”50%1RM,8回×3セット,2回/週,12週間の
スロートレーニングを実施すると
等尺性最大筋力,筋厚のいずれも
通常の動作で行う群と比べ
7〜10%の有意な増加を示した。”

”さらに、30%1RMまで負荷強度を下げた
LST法(13回×3セット,3カ月)でも
高齢者の筋横断面積の増大を引き起こす
ことが判明している”

 

他にも様々なパターンで、
スロートレーニングの筋肥大が
確認されていますので、
詳しく知りたい方は、参考文献を
ご参照ください。m(_ _)m

 

実際使ってみてどうか

スロートレーニングは前回紹介した
低負荷高頻度でのレジスタンストレーニング
よりも、短時間で低リスクのリハビリが
実施できるというのが、最大の
強みであると感じています。

しかし、スロートレーニングは
低負荷でありながらも、やってみると
思ったよりもきついです(>ω<;)

そこで、実施するときは1つ注意点!
せっかく低負荷で低リスクのトレーニングを
実施しているのに、ここで息を止めてしまったら
血圧上昇で心不全悪化なんてことになりかねません(o_o)

なので、患者様には絶対に【息を止めない
ように注意してもらいながら実施しています。

 

スロートレーニングは基本的に
抗重力でのトレーニングが多くなってしまいます。
※やり方によっては、非抗重力でも可能

したがって、抗重力での運動が実施できない方や
スロートレーニングでの訓練で、血圧上昇などが
著しい方は、前回紹介した低負荷高頻度での
レジスタンストレーニングが好ましい
と思われますので、うまく使い分けて下さい!!

 

患者様にあったリハビリの提供を!

今回と前回でレジスタンストレーニングの
負荷設定についてお話させていただきました。

しかし、
これらが絶対にいい!!
というわけではありません。

その患者様の性格やバックグラウンド
考慮に入れたリハビリのメニューを
考えて提供してあげて下さいm(_ _)m

 

少しでもこの記事が役にたったと
思っていただければ幸いです!!!

以下に参考にした文献を掲載してますので
詳細な情報が知りたい場合はそちらを
ご参照ください。

ではまた別の記事で...

参考文献

石井直方:スロートレーニングの効果とそのメカニズム.日本臨床スポーツ医学会誌,Vol.21 No.3, 2013.

石井直方:健康づくりのためのスロートレーニング,第1回スロートレーニングの基本的方法と効果. プラクティス,Vol30 No.4 2013, 7.8.