こんにちは、理学療法士のさいとうです。
今日は「大動脈瘤」について話をして行きます。
大動脈瘤は死亡のリスクが高く、
怖いですよね。
でも、なんとなく怖いけど
どう気をつけたらいいの?
と思っている人も多いのではないでしょうか。
今日はそんな人の役に立てたらと思います。
大動脈瘤とは
大動脈瘤は「 大動脈の一部の壁が,全周性,または局所性に(径)拡大または突出した状態」とする.
大動脈壁の一部が局所的に拡張して瘤を形成する場合,または直径が正常径の1.5倍(胸部で45mm腹部で30mm)を超えて拡大した(紡錘状に拡大した)場合に「瘤(aneurysm)」と称している.2011.大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン
とかいてあります。
要は胸部・腹部の大動脈が直径1.5倍以上になり
こぶができている状態というわけです。
動脈硬化が疑われる初老期の男女
に好発すると言われており
症状としては
胸背部圧迫感・背部痛・腹痛 |
嗄声(左反回神経麻痺)・Horner症候群 |
嚥下困難・悪心・嘔吐 |
拍動性腹部腫瘤 |
などがあげられる。
しかし、症状が乏しい場合も多いので
確定診断には造影CTなどが必要となります。
破裂を予測させる最大の因子は
動脈瘤の直径になります。
最大直径[cm] | 年間破裂率[%] |
<4.0 | 0 |
4.0〜4.9 | 0.5〜5.0 |
5.0〜5.9 | 3〜15 |
6.0〜6.9 | 10〜20 |
7.0〜7.9 | 20〜40 |
8.0≦ | 30〜50 |
この表は、腹部大動脈瘤の大きさと破裂のリスクを示しています。
5cm以上のものは破裂のリスクが高いため
手術適応となります。
また、年間5mm以上の拡大傾向にあるものも
同様に手術適応が検討されます。
リハビリとリスク管理
リハビリでの目標は
・1 日の血圧が収縮期血圧で130mmHg 未満にコントロールできている
・ADLの自立
などとなります。
これを目指す上でのリスク管理としては
①大動脈瘤を拡大・破裂させない
ということと
②その他合併症に対する管理
がメインとなります。
①はリハビリ中の運動負荷
が重要となります。
なので、血圧上昇や心拍数上昇を伴う
訓練メニューは避けるべきである。
血圧の目安としては
収縮期を105〜120くらいで
キープできるよう進めて行きます。
基本は主治医の先生と随時確認を
とりながら、負荷量を決定して行きましょう。
さらに日常生活で血圧の上昇を
避けるような生活指導が重要となります。
②は主に動脈硬化に対する注意・管理
が必要になります。
動脈硬化性危険因子の管理としては
高血圧・脂質異常症・糖尿病・高尿酸血症
などの治療および管理が必要です。
さらに動脈硬化性合併疾患の管理では
脳血管障害・頚部動脈疾患・動脈疾患・腎(動脈) 硬化症
などを有していることが多いです。
その中でも冠動脈疾患の合併は高率であり、
全身の主な動脈病変の合併について
評価し必要であれば治療をしていく必要があります。
まとめ
今回は大動脈瘤について
書かせていただきました。
最後に要点をまとめます。
・血圧上昇や心拍上昇の伴う訓練は避ける
(収縮期 105〜120を目安)
・動脈硬化に対する注意・管理が重要
(特に冠動脈疾患の合併に注意)
大動脈瘤はリハビリ自体が
禁忌になる場合もあるので
主治医の先生とよくコミュニケーションを
取りながら進めて行きましょう。
今日の記事が少しでも役に立ったら幸いです。
ではまた別の記事で。。。
参考文献
病気がみえる 循環器.発行者:岡庭 豊 発行所:株式会社 メディックメディア
(2012).心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン
(2011).大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン